給付抑制などが検討されている04年の年金改革を控え、一般国民に比べ優遇されている国会議員の年金を見直す動きが出ている。民主党は党内に検討チームを発足させ、今国会で国会議員互助年金法改正を目指す。小泉首相も見直しを歓迎する意向を示したが、当の民主党を含め与野党には議員年金を「退職金」と考える議員も多く、先行きは不透明だ。【asahi.comより】
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一般に比べてかなり優遇されていると言える。
・原則10年以上在職が受給の条件。(→基礎年金は原則25年以上加入が受給の条件。)
・他の公的年金と重ねて受給できる。(→他の公的年金は原則一人一年金。)
・年金給付額は、例えば、在職10年で議員を辞職すると65歳から年間412万円(月額約34万円)受給できる。(→厚生年金の現行モデルは、夫婦2人・加入期間40年で月約23万8000円。)
・国会議員が負担する納付金も原資とするが、足りない分は国庫負担となっており、国庫負担率は2001年度で70%にものぼる。(→基礎年金への国庫負担率は現行1/3。)
次期年金改革では、保険料を年収比で20%程度まで段階的に引き上げて固定する一方、年金給付額を抑制する新方式が検討されている。年金財政が苦しく、国民の大きな関心になってるこの期に及んでも、まだ自分たちの特権を守りたい現状維持派がいるなんて、絶句、絶句、・・・である。
政府は31日、2002年の消費者物価の下落幅が0.9%に確定したことを受け、4月から公的年金の給付額を0.9%減額することを決めた。【YOMIURI ONLINEより】
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政府は来年度予算案で、物価の変動に応じて年金給付額を増減する「物価スライド制」を4年ぶり(過去3年間は物価下落なるも、個人消費冷え込みを理由に凍結されてきた。)に適用し、昨年の物価下落幅に合わせて年金などの給付額をマイナス改定する方針を決めていたが、消費者物価指数の確定により、初となるマイナス・スライドのスライド率が確定した。
厚生労働相の諮問機関「労働政策審議会」(西川俊作会長)は23日午前、失業給付の給付率の下限を退職時の給料の60%から50%へ引き下げることを柱とした雇用保険法改正案要綱を決定した。厚労省は今国会に改正案を提出し、5月1日の施行を目指す。【YOMIURI ONLINEより】
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改正案要綱の主な内容は、
@失業給付を従来の平均日給の80%〜60%支給から80%〜50%支給へ、下限の60%から50%への引き下げ
A正社員とパート労働者の給付日数を一本化
B給付日数を3分の1以上かつ45日以上残して再就職した場合、就業促進手当を支給
C2005年度から雇用保険料率を1.6%に引き上げ
D不正受給が発覚した場合、不正受給額の2倍払いから3倍払いへの引き上げ
厚生労働省は会社員とその配偶者が老後の厚生年金を半分ずつに分割できる制度の導入を検討する。現在は厚生年金は加入者本人しか受け取れないが、希望すれば一部を配偶者名義に切り替えられるようにする。配偶者の内助の功を年金額に反映させ、夫婦間の年金格差をなくす狙い。離婚時に年金を分割できる制度と併せ2004年の年金制度改革で実現を目指す。【日本経済新聞より】
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全国民共通の基礎年金に上乗せして受け取る報酬比例部分が分割の対象。配偶者への分割割合は原則2分の1だが、2分の1を上限に夫婦間で独自に決める道も用意する方向とか。第3号被保険者制度への批判をかわす方策とのうがった見方もできるが、それでも従来の世帯単位の年金という考え方から個人単位化の方向に少しでも動き出したことは歓迎したい。
兵庫労働局は18日、県内の事業所で従業員にサービス残業をさせたとして労働基準監督署が是正を勧告・指導した企業が昨年4月から今年9月の間に41社あり、是正するため従業員に支払われた残業代が18億2654万円にのぼった、と発表した。厚生労働省の集計では、同期間に全国で勧告などを受けた企業の支払額は約81億円で、兵庫はうち2割を占めている。【神戸新聞WEB NEWSより】
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兵庫が全国の2割も占めているとは驚きだが、1社で是正額13億円(全国でも最高額)の企業があったため県内の是正額がかさ上げされたもの。是正勧告・指導を受けた41社のうち残業代全面カットが約半数、残業時間を短く申告するよう指示したり、正規の終業時刻をタイムカードに記入させてから残業させたなどの例がみられたという。当局は、重大で悪質な事案は司法処分も含め厳正に対処していく方針。自社の労働時間管理が適正か再確認しましょう。
政府は18日、物価下落に応じて公的年金などの給付額を引き下げる「物価スライド」について、2003年度に0.9〜1%程度引き下げることを決めた。坂口厚労相と塩川財務相が来年度予算をめぐる事前折衝で正式に合意した。物価に応じて公的年金給付が下がるのは初めて。約3000万人の年金受給者全員が対象となる。ほかの福祉手当も同様の引き下げとなる。ただ、児童扶養手当については制度変更から間もないことから実施時期を半年ずらし、来年10月からとした。また、介護保険から事業者に払われる介護報酬については、2.3%の減額で決着した。【asahi.comより】
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坂口厚労相…1年分のみの引き下げ、塩川財務相…据え置いた過去3年分も含めての引き下げで対立していたが、結局、1年分のみの引き下げで決着がついたようだ。そりゃそうだ。一気に何年分もの引き下げは誰しも受け容れられない。できるわけない。
結果、このツケが後世代に回ることとなってしまった。現在の年金世代の方には申し訳ないが、やはり原則通り物価スライドを実施しておくべきだったと思う。